人生に必須でありながら、学校では教えてくれない技術
問題解決の9ステップ
現在は義務教育の普及により、生きていく上で必要最小限の事は、誰でも学ぶことが出来ると考えられています。しかし、人生に必須でありながら、学校では教えてくれない知識もあります。それがこれから説明する「問題解決スキル」です。
問題がまったく起きない人生はありません。しかし、貴方が学んだ国語も数学も理科も社会も基本的な問題の解決方法を教えてはくれ無かったと思います。人生の荒波を乗り切るための「問題解決スキル」は明示的に義務教育で教えるものではなく、学校生活や社会生活の中で本人が自分で学んでいく物と思われていて、誰かが教えてくれるものではないというスタンスなのです。
もちろん、「なんでも教えてもらったり、マニュアルが無くちゃダメなんて思っているの」と言うような反論はあると思いますが、問題を抱えて悩み抜いた末に不幸に陥る人がたくさんいる事を考えると、他人から楽をしていると思われたって、直接、問題解決方法、つまり悩みの解消方法を学んでしまって、その後も楽に暮らせるほう良いのでは無いかと思います。
そこで、ここでは基本的な問題解決方法を簡潔に説明していきましょう。まず、問題解決を行う為の基本的な流れを9ステップという形で表にまとめてみましたので、見てください。非常に当たり前に思えるかもしれませんが、悩みが解消できないという人は、この当たり前のことがうまく出来ていない事が多いのです。
≪問題解決の9ステップ≫
第1ステップ 『立ち止まって落ち着く』
第2ステップ 『何が問題なのかをはっきりさせる』
第3ステップ 『解決策を挙げる』
第4ステップ 『解決策を具体的にする』
第5ステップ 『利点(メリット)を挙げる』
第6ステップ 『欠点(デメリット)を挙げる』
第7ステップ 『解決策同士の組み合わせを考える』
第8ステップ 『解決策を選択する』
第9ステップ 『実行する』
落ち着いて考える
まずは第1ステップから考えていきましょう。第1ステップは「立ち止まって落ち着く」です。悩みや問題を抱え込んでいる状態は不快ですから、出来るだけ早く、そこから抜け出そうとして、すぐに動きたいと思うかもしれませんが、どこに行くのか決めないうちに走り出しても、無駄に体力を使い消耗するだけです。
そこでもがいている限り、そこから逃げることはできない
悩み始めたら、まずは手を止め、立ち止まりましょう。そして、問題について冷静に考えられるようになるまで、落ち着きましょう。
≪落ち着くための具体策いろいろ≫
○ まず自分が不安になっていることを認識する
○ どんな不安か文章に書いてみる
○ 深呼吸する
○ その場を離れる
○ 時間を置く
○ 別のことをしてみる
問題とは?
悩みに悩んでいるのに、改めて「あなたの問題って何?」と聞かれた場合、とっさに応えが出ない場面が結構多いのは知っていますか? 純情な乙女が「恋する自分に恋している」なんてお話を聞くこともあるけど、悩みの場合は「悩める自分に悩んでいる」という場合があるためなのです。そんな時は次の公式を活用してみましょう。
『現在の状況 − 問題 ⇒ 理想の状況』
つまり、貴方の期待する理想の状態と、現状の状態のギャップが問題だと言うわけです。問題が何かという事が明確にわからない限り、それを解消する解決策も見えてきません。まずは落ち着いて状況を分析し、問題とは何かを抽出してみましょう。
例として、他人と喧嘩してしまったという状況における問題抽出例をあげて起きます。これを見れば、一口に問題といっても、人や状況によって問題の捉え方が違うのがわかると思います。貴方にとっての問題とは何かを冷静に考えてみてください。
≪人と喧嘩をしてしまった場合の問題の捕らえ方例いろいろ≫
○ 相手の意見が間違っているのが問題
○ 相手を言い負かせなかったのが問題
○ 自分がうまく相手と折り合えないのが問題
○ 喧嘩をしてストレスを感じたのが問題 等々・・・
解決策の出し方
問題が何かを定めたら、次に解決策を出していきます。問題の解決策を出す際に注意しなければならないのは、「できる」か「できない」かを考えずに、思いついたことをどんどん出していくという事です。
「どうせだめだ」 「無駄だよ」 「少しくらいは我慢しなきゃ」等の言葉で、貴方の思考が縛られていませんか?
普段はうまく泳げる人でも手足を縛られた状態では溺れてしまうように、思考が縛られた状態ではいくら考えても、良い解決策は出ません。まずは、「しがらみ」や条件は考えずに、どんどんアイデアを出していきましょう。アイデアを出す時に役立つ「ブレインストーミング法」の要点を下記に紹介しておきます。
≪ブレインストーミング法の要点≫
○ 自由奔放にアイデアを出す
○ 出されたアイデアに対する一切の批判禁止
○ このアイデアはだめかもと考えず、質より量という感じで発言する
解決策を出し終わったら、それぞれの解決策を具体的に肉付けしておきましょう。どんどんアイデアを挙げる時点では、「しがらみ」や条件を考えないようにするためにも細かい設定は考える必要はありませんが、実際に実行する為には「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どのように」するのかを決めておかなければなりません。
メリットとデメリット
具体的な解決策の案出が終わったら、その解決策をとった場合のメリット(良い点)を挙げていきます。どんな解決策にもメリットはあるものです。どんどん挙げておきましょう。ここで重要なのは、デメリット(悪い点)を考えずメリットのみをまず挙げると言う事です。
十分にメリットを出し終わったら、次はデメリットを挙げておきましょう。メリットと同じように、どんな解決策にもデメリットはあるはずです。
「しがらみ」や条件を考えずに解決策を出すようにしたり、メリットとデメリットを分けて出したりする事は、貴方を思考の呪縛から解き放つ為の大きな助けとなります。これらの手順は面倒くさがらずに必ず分けて行いましょう。
組み合わせてみる
前項までの手順が済んだら、メリット・デメリットを含めて解決策を見直し、解決策同士の組み合わせが行えないかを考えてみます。ある解決策によって、別の解決策のデメリットを減らせる場合が往々にあるからです。
解決策の選択
解決策が出揃い、メリットもデメリットもわかりました。あとは、貴方に合った解決策を選び出しましょう。どんな解決策にもデメリットがあるのですから、デメリットがある事そのものは、その解決策を避ける理由にはなりませんが、貴方が容認し得ないデメリットを持つ解決策は避けた方が無難でしょう。また、他人には簡単に思えることでも貴方には難しい方法、逆に他人には難しく思えても貴方には容易な解決策という物もあるでしょう。
実行するのは貴方なのですから、他の誰の為でもなく、貴方にとって最良の解決策を選んでください。
実行する
さあ、後は実行です。しかし、再度貴方にブレーキがかかってしまうかもしれません。
「どうせだめだ」
「無駄だよ」
「少しくらいは我慢しなきゃ」
そんな貴方の心を縛り付ける言葉達です。
人間の限界は、自分がもつ心の制限によって生み出されます。「どうせダメだ」という限界が見えるのも、貴方の心が「どうせダメだ」という限界を受け入れるのを容認した為に生じているのです。
貴方の中には、膨大な潜在能力が眠っています。貴方はやろうと思ったことは何でも出来る能力は持っているのです。せっかくの力を制限するような限界を勝手に作り出すのは止めましょう。
さあ、意を決して始め時間がきたのです!